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いじめをなくすEBPM

2023/04/05

みなさんこんにちは。

街中で子育て政策や教育の無償化についてお話をきいていると、それよりも学校のいじめ対策を強化してほしいという保護者の皆様の切実な声を聞きます。

学校現場においては「いじめは卑劣な行為」「いじめは絶対にダメ」「見て見ぬ振りをしない」などの指導とともに、「いじめを考える日」を設定するなど取り組みを進めていますがいじめの撲滅には至っていません。

いじめが起こらない学級をつくるのは無理なのでしょうか。

私は「いじめが起こらない学級は作れる」と考えています。

そのための手法が最近日本でもようやく言われるようになってきたEVPM(科学的根拠に基づいた政策決定)です。

つまり、いじめが起こるメカニズムを科学的に分析して、それに対して正しく対処をしていくことでいじめはなくせると考えています。

既に浜松にある「子どもの発達科学研究所」などでいじめのメカニズムの分析は進んでいます。

いじめる側の子ども達に学力や家庭生活上の不満や不安があることは古くから指摘されていましたが、学習到達度(子ども達一人一人がどのくらい授業の内容を理解しているか)といじめの発生件数との相関関係を科学的に分析することで、いじめが起こりそうなクラスの予兆を計測することができます。

また、いじめる側の子ども達に「これは正しい行いだ」という誤った正義感が存在する事も分かっています。「いじめられる側に非があって自分はそれを正している」または「鍛えて訓練してやっている」もしくは「集団全体のために異分子を排除している」といった誤った思考がいじめを正当化していることが分かっています。つまり、いじめは悪いことだという声掛けだけではいじめは防げないことが科学的根拠を持って示されています。

そして最後に、いじめはパワーバランスが崩れた時に起こるということが分かっています。友達の多い子どもが友達の少ない子どもに、体格の良い子どもが華奢な子どもに、裕福な家庭の子どもが経済力の弱い家庭の子どもに、といった具合でいじめは発生します。

これらを総合していじめを科学的に予防するための仕組みを考えれば

1、クラスの学力や家庭での生活の様子をできる限り普段から把握していじめの予兆を見逃さない

2、いじめの背後にある正義感にまで掘り下げて、誤った考えであることを学習する

3、いじめを行う子どもよりも、いじめが起こってほしくないと思っている生徒の方が多数であるということを学級の中で明らかにする。

という対策が挙げられます。

特に3番目の、いじめを傍観している子ども達に対する研究は重要です。なぜなら、大人になってから学生時代にあったいじめの影響についてのアンケート調査を行ったところ回答者の大勢がいじめの「傍観者」であり、そのために「自分は無力だ」「いじめられている子を見捨てた」と自己嫌悪していたことが明らかになっています。

クラスの中で、実はいじめを歓迎しない子ども達の方が圧倒的に多数派であることを明らかにし、「いじめは見て見ぬ振りをするな」ではなく、「いじめは一人で止めようとせず、みんなで一緒に止めよう」という声掛けを日頃から徹底する事で、パワーバランスの天秤が常にいじめを起こさない方に傾いていることが大切です。

こうした科学的な見知からいじめをなくすための取り組みはすでにいくつかの学校で進んでいます。

ただ、これがなぜ全ての学校で出来ないのか、という問いに対しては、「教員が忙しすぎてそうした知見を勉強し、実践していくだけのゆとりがないから」という答えが本音だと思います。また、教育委員会が行なっている研修がありきたりで古いままのものが多く、研修そのものに「意味の無いもの」という認識が広がっているということも、現場の教員の先生方から聞くことがあります。

今後も学校支援員の増配や、ICTの導入、部活の外部委託などで教員の負担軽減を進めていくとともに、こうした科学的根拠に基づいた指導を全ての学校ができるように、教員の研修についても議論を進めていきたいと思っています。