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ペットは家族か持ち物か

2023/01/10

みなさんこんにちは。

先日、私の事務所に一本の電話がありました。「家の真隣にペットの火葬場ができるらしい。そんな事が許されるのか。何とかして欲しい」という内容でした。

確かに、ペット用とは言え、家の真横に火葬場ができるというのは歓迎できる人は少ないのでは無いかと思います。一方で、家族の形が変化するにつれ、ペットも重要な家族の一人という考え方も一般的になり、当然、ペットが亡くなった時にはそれを悼む場所や、丁寧に葬送する場が欲しいというニーズも今後ますます高まってくるものと思います。

早速行政的にペットの火葬場についての現在の扱いがどうなのかという点を大阪市の各局に確認したところ「煙や匂いについては基準値を定めており、基準を超えるものについては是正を求めていく」という回答です。つまり、モノの焼却炉と基本的には同じ扱いになっています。具体的に観測できるものについては対策がとれますが、「家の隣で亡骸を毎日焼却されるのは嫌だ」という、いわゆる「人の気持ち」に対応する形での規制は存在しないということでした。

そういう訳で、法律や行政は冷たいと思われている方も多いかもしれませんが、実は法律や条例は人が(それも沢山の人々が)お互いに気持ちよく暮らすためのルールを定めているものですから、「気持ち」という部分も結構大切にして作られているものもあります。

ペットの火葬場に関する条例に関して他都市調査を行ったところ、箕面市や堺市で既にペットの火葬場に関する条例が設置されており、住宅との距離などを定めていることがありました。

もちろん、他都市の条例をそのまま大阪市に当てはめてしまうと、住宅の密集度合いや都市計画の都合などによって上手く当てはまらない場合もありますので、今後大阪市に適した形で条例制定を進めていく予定で、調整を進めています。

今回のご相談では、条例や規則もない中ではあるものの、地域の声として事業主の方と直接膝を交えてお話をさせて頂き、ご理解を得ることができました。この火葬場をされようとしていた事業者の方が、人や生き物の心を扱うお寺さんのご住職だったこともあり「地域の方にご迷惑なのであれば無理に進めようとは思いません」と地域の方々の気持ちを汲み取り事業を白紙撤回して頂きました。

かつてはペットは「もちもの」として扱われていて、現在でも法律や行政上の処理でペットを「もの」として扱っているものは多く残ります。他人のペットを傷つけてしまった場合「器物損壊罪」になるというのが最たる例かもしれません。ですが、「ペットは家族」という考え方がより深く浸透するにつれ、家族と同じようにペットの死を悼む場と、周辺住民の生活の安寧が上手に両立できるよう、条例制定を早期に実現させていきたいと思います。