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公教育の「多様化」で目指す社会

2022/11/02

本日は大阪市役所で「公教育の多様化実現PT(プロジェクトチーム)」の7回目の会議がありました。

8月にキックオフして以来、チーム内に5つの班を編成して実現に向けた調査と研究を進めています。

みなさんは今の日本の公教育にどんな感想をお持ちでしょうか。昔よりは柔軟になったとはいえ、まだまだ日本の公教育は画一的で、むしろ「どこの学校に通っても同じ教育が受けられる」ということが重要な価値観として運営されています。

もちろん日本の公教育にも素晴らしい点はたくさんあります。読み書きそろばんのレベルで言えば日本の教育は常にトップレベルを維持していますし、貧富の差に関係なくほぼすべての子どもたちに基礎的な読み書きと計算の力が備わっているというのは世界に誇るべき成果です。

一方で、その成功体験から抜け出せずに世界の教育から大きく遅れをとってしまった部分が「個性を伸ばす」「答えのない問題を考える」といった部分ではないでしょうか。

すべての子どもたちに基礎的な能力を画一的に教える教育は「一億総中流」「規格大量生産」といった価値観で社会が動いていた昭和の時代には最適な教育方法だったかもしれません。また、子どもの数が多かった時代には学校運営をする側の目線としても、ある程度画一的に管理せざるを得ないという状況もあったかと思います。

一方現代社会では、みなさんもご承知のように「多様性」が重視される時代であり、決められたことを決められた通りできる能力はコンピューターに置き換えられようとしています。そこで、公教育のあり方も社会に合わせて変化させていくべきだと考えて、大阪市教育委員会と大阪維新の会の市議団メンバー、そしてそれぞれの特徴ある教育を実践している教育の専門家や実務者たちの3者でPTを進めています。

ここで、「教育の多様化」を少しだけ詳しく解説します。

私たちが目指している教育の多様化には2つの側面があります。

1つ目は、これまでの公教育のやり方(学級編成、教科科目、教え方etc)にとらわれずに、国内外で成功事例を積み重ねている教育方法を選択できるようにすることです。例えば国際バカロレア教育のような国際的に評価の高いカリキュラムや、子どもたちが学年に関係なく自分の興味や理解度に応じて自学自習を進められるような学習方法を、公教育のなかで子どもや保護者が自らの教育観に照らして選べるようにしていきたいと思っています。

もう一つは、学力以外の能力を伸ばすことでも生きていく力をつけてもらえる教育環境を整えたいと思っています。例えば体を動かすのが好きな子ども達にはどんどんその力を伸ばしてもらって、選手になる子どももいれば、スポーツジムのインストラクターや習い事のコーチ、スポーツに限らなくても体力勝負の仕事などに就いていく人材が心豊かに育つことは社会にとっても重要です。そしてそれは音楽や芸術も同様です。

教育の最終的な目的は「個人の幸福」と「平和で協力的な社会」を実現することだと思います。

子どもたちが好きなこと、やりたいことで生きていく力を援助できる教育環境を創ることは、幸せな社会をつくるための第一歩であることは間違いありません。それに加えて、「みんなが同じ教育を受けている」という同質集団は安心感を与えてくれますが、「みんな同じで当たり前」という思い込みが強くなりすぎると、自分と違うものを排除したり、協力したり競争したりする力が働きにくいというデメリットを生じます。「みんなそれぞれ少し違った教育を受けている」くらいの方が「みんな違って当たり前」の前提のもと、意識的に協力する必要性が生まれたり、違うものへの受容力や競争力を生み出すのではないでしょうか。

大阪は全国に比べても不登校児童・生徒の数が多いという課題を抱えています。教育委員会は不登校特例校を設置して、少しずつでも学校に通ってもらおうと対策を講じています。ですが、不登校の原因を子どもたちの側に求めるのではなく、教育環境の側に原因があるというふうに課題設定を見直すと、とるべき対策は全く違ったものになります。

今は5つの班に分かれて5種類のモデル校を立ち上げることを目標に挑戦していますが、近い将来、多様な選択肢の中から自分に合った学校を選べるのが当たり前の社会になると、不登校の数も自然と減っていくのではないかと思います。何より、子どもたちが自分の得意を伸ばして幸せに生きていくことに少しでも道を広げてあげられるのであれば、教育行政に携わる者としてこれに勝る挑戦はないと思います。

教育の多様化について、みなさんのご意見はどうだったでしょうか。

それでは、今日はこの辺で。