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制服は必要か

2022/10/29

みなさんこんにちは

昨日は大阪維新の会の市会議員団で学校制服に関する議論が行われました。制服を巡る議論にはこれまでもジェンダーの問題や費用負担の問題、自己表現の問題など色々な論点が語られてきましたが、これまで教育委員会として統一的な見解は存在せず「各学校長の判断による」とされてきたところです。

ここで少し論点を詳しく解説したいと思います。

1ジェンダーの問題

日本は国際的にみてもジェンダー指数が低い(男性と女性でそれぞれのイメージや役割が固定化されている度合いが強い)国で、男女間の賃金格差のギャップの大きさも指摘されています。制服は児童期から思春期までの人格形成にとって重要な時期に「男子はズボン、女子はスカート」という決められた服装を強制することで、男子は活発で活動的、女子であればおしとやかで可愛らしいという昔ながらの男女の理想像をこども達に刷り込んでいないかという問題意識は近年保護者の間でも高まってきています。また、身体と心の性が一致しないこども達にとっては、自身の性自認と違う性別の服を着せられることによる心の傷も問題となっています。

2費用負担の問題

大阪は全国的にみても学校制服の割合が高い地域です。もともと大阪には繊維問屋が集積し、戦後の衣食がままならない時期から丈夫で比較的安価な標準服を生産することができたという歴史的な背景があります。保護者からしても丈夫な標準服を1〜2着用意しておけば毎日それを着回していけるというのはコスト的にもメリットがあったと思います。一方時代は進んで、現在ではかつての制服よりもさらに安価で機能的な服がAEONやGUなどの量販店で簡単に手に入るようになりました。それに伴い「なぜわざわざ(比較的)高い制服を買わなければいけないのか」といった不満が保護者の側から上がることも多くなっています。

3自己表現の問題

文部科学省は学習指導要領の中でこども達の個性を伸ばし、表現力豊かなこども達を育てることを目標としています。そうした観点から見たときに「全員同じ服というのは率直に言ってどうなんだ」という疑問が湧くことも不思議ではありません。一方で、共同体意識を育み社会性を身につける上で制服は重要だという意見にも根強い支持はあります。制服がなくなると、こども達が自由な服装で学校に通えるようになる一方で、保護者の側からは「規律が乱れる」「毎日の服選びが大変」「人気のキャラクターやブランドの購入合戦になり費用が増える」などの心配の声もあります。

4卒業生や地域の理解

実は忘れてならないのが卒業生や地域の人たちの想いです。日本の学校運営は歴史的に卒業生の集まり(OB会)や、地域の人たちに支えられている側面が大いにあります。毎朝の見守り活動であったり、通学路の清掃活動、青少年健全育成を目的とした研修会や講習会、学校行事の準備や後始末など、普段通っているだけではなかなか気づきにくい部分で縁の下から学校運営をサポートしてくれています。校歌に制服の色や特徴などが歌われている場合などもあり、地域や卒業生にとっても愛校精神と切っても切れない関係にあるのが学校制服と言えるかもしれません。もちろん学校はこども達のためにあり、地域や卒業生も現役生の幸せを一番に考えてくれていることは間違いありませんが、保護者や学生間で意見が分かれる場合などは地域や卒業生達の意向が反映される場合も少なくありません。

これらの論点を整理した上で、昨日の勉強会では政調会長として大阪維新の会大阪市議団の大きな方向性を取りまとめました。

まず最も重要な論点として、性別によってこの服装をしなければならないという男性・女性を固定化するような制服はやめていくという方針を教育委員会がしっかり各学校に示していくべきという事を確認しました。ここは学校任せにせずに、大阪市の教育の大方針として進めていこうと思います。

次に、その進め方について、近年では選べる制服(女子用の制服についてスカートかスラックスが選択できる)が少しずつ増えてきてはいますが、LGBTの問題に限定しないことに十分配慮するよう教育委員会に求める事を確認しました。つまり「女子生徒でも自らの性自認が男性の場合はスラックスを履いても良い」という誤った運用にならないように、そしてそれがいじめや中傷につながらないようにこども達とジェンダーについて考える機会を設けるという事です。身体や心の性別にとらわれずにズボンとスカートをどっちでも選んで良いという運用にする事が重要です。それがひいては「男のくせに」とか「女らしく」といったジェンダーギャップの解消にもつながると考えます。

他の論点については議員の中でも意見が分かれ、おそらく保護者の中でもこちらが良いといった大きな世論の形成がなされていないという判断で、今回は統一的に方針を取りまとめることはしませんでした。制服、私服(自由服)双方にメリットとデメリットがありますので、どうしても制服がいいとか、どうしても私服がいいという方には学校選択制の中で判断の基準にして頂くのが現状の最良解かなと思います。

みなさんの制服に対する考えはいかがだったでしょうか。

引き続き大阪市会の議論にご注目くださいね。

それでは、今日はこの辺で。